ハムストリングスの働きと腰痛の関わり ― “さぼり筋”と“過労筋”の視点から理解する、身体のつながりとセルフケア ―

この記事では、多くの方が不調を抱えやすい腰の違和感や重だるさと深い関係がある「ハムストリングス」について、わかりやすく、そして少し専門的な視点も交えながら丁寧に解説します。

  • ハムストリングスが硬いと腰が重くなるのはなぜ?

  • 逆に、ハムストリングスが弱いと腰に負担がかかる理由は?

  • 姿勢や運動のクセ、筋の使われ方の偏りとはどう関わる?

  • 自分でできるケアはある?

こういった疑問を、理解しやすいようにまとめています。

身体についての理解を深め、セルフケアの参考にしていただくための内容です。

■ 1. ハムストリングスとは?

ハムストリングスは、太ももの裏側に位置する3つの筋の総称です。

  • 大腿二頭筋(だいたいにとうきん)

  • 半腱様筋(はんけんようきん)

  • 半膜様筋(はんまくようきん)

股関節から膝裏にかけて伸び、
「立つ・歩く・走る・しゃがむ・持ち上げる」など、あらゆる動作の安定に深く関わります。

▼ ハムストリングスの主な役割

  1. 股関節を後ろに引く(股関節伸展)

  2. 膝を曲げる(膝関節屈曲)

  3. 骨盤の後傾(骨盤を後ろに傾ける)に影響する

  4. 地面を蹴るときの推進力を生む

  5. 立位姿勢の調整

特に、姿勢との関わりが強く、
“ハムストリングスが硬すぎる人”“使えず弱くなっている人”どちらも腰へ影響しやすい特徴があります。

■ 2. ハムストリングスの働きと腰痛の関係

ハムストリングスは、骨盤の裏側「坐骨」から始まっています。
つまり、ハムストリングスの状態は骨盤の傾きに直結します。

骨盤の位置が変わると、腰椎(腰の背骨)のカーブにも影響し、結果として腰に負担がかかりやすくなります。

以下では、ハムストリングスが 硬い場合弱い場合 に分けて説明します。

●(A)ハムストリングスが硬すぎる場合

硬さ=過労筋になっている可能性が高い状態です。

▼ 起こりやすいこと

① 骨盤が後傾しやすくなる
→ 腰が丸まり気味になる
→ 腰椎の自然なカーブ(前弯)が減る

② 腰の筋肉が常に引っ張られ、張り・重さを感じやすい

③ 太もも前側や腰部が代わりに頑張る
→ 過緊張の連鎖が起こる

▼ 結果として

「立っていると腰がつらい」
「長く座ると腰が重い」
などの不快感につながることがあります。

●(B)ハムストリングスが弱い(使われにくい)場合

弱い=“さぼり筋”になっている状態が多いです。

▼ 起こりやすいこと

① 股関節の伸展が苦手になる
→ お尻(殿筋)が過労
→ 腰で代償して反りやすい

② 骨盤が前傾しすぎる
→ 腰椎の反りが強くなる
→ 腰が詰まりやすい、張りやすい

③ ハムストリングスが働かない分、太もも前側や腰部の筋が余計に頑張る

▼ 結果として

「歩くと腰が張る」
「反る動きが苦手」
といった不快感につながりやすいことがあります。

■ 3. “さぼり筋”と“過労筋”の視点で理解するハムストリングス

身体は、ある筋が働きづらいと、別の筋が補助しようとします。

▼ ハムストリングスが“さぼり筋”になりやすいタイプ

  • 座っている時間が長く、お尻〜太もも裏が使われにくい

  • 立つときに腰を反るクセがある

  • 歩く際に後ろ脚の蹴りが弱い

  • 前ももばかり疲れる感覚がある

▼ ハムストリングスが“過労筋”になりやすいタイプ

  • 骨盤が後傾気味

  • 太もも裏が常に張っている

  • ストレッチしてもすぐ硬くなり戻る

  • 腰が丸まる姿勢が多い

■ 4. 相反神経抑制:過労筋をゆるめると、さぼり筋が働きやすくなる

人間の身体には、
一方の筋を働かせると、反対側の筋が自然とゆるむ仕組み
=「相反神経抑制」があります。

ハムストリングスの場合、

  • 太もも前(大腿四頭筋)が過緊張 → ハムストリングスが使いにくい

  • お尻(殿筋群)が使えていない → ハムストリングスが過労

などの関係があります。

▼ ケアの順序としては

  1. 過労筋(太もも前 or ハムストリングス)をゆるめる

  2. 股関節の可動域を整える

  3. さぼり筋(お尻やハムストリングス)を活性化する

この流れが自然で、身体への負担も少なくなります。

■ 5. 姿勢・運動連鎖との深い関わり

ハムストリングスは、単体で働くのではなく
骨盤 → 股関節 → 膝 → 足首
といった運動連鎖の中で重要な役割を担います。

▼ ハムストリングスが硬い場合

  • 骨盤後傾

  • 背中が丸まりやすい

  • 腰の負担が増える

  • 股関節が動きにくくなる
    → 代わりに腰が捻られたり反らされる

▼ ハムストリングスが弱い場合

  • 骨盤前傾

  • 腰の反りが強い

  • 後ろ脚の蹴りが弱い
    → 腰部の筋が過労して疲れやすい

姿勢の乱れは“結果”であり、
筋のバランスの影響を受けて変化していきます。

■ 6. 図なしでできるハムストリングスのセルフケア

※痛み、しびれ、腫れ、熱感がある場合は医療機関への相談が必要です。

◆ ① 過労筋ゆるめ(準備)

● 太もも前(大腿四頭筋)の軽いマッサージ

座って太もも前を手のひらでやさしく流す。
1分ほど。

● 内もも(内転筋)の軽いストレッチ

椅子に座り、脚を軽く開いて身体を前に倒す。
30秒。

◆ ② ハムストリングスの軽いストレッチ

椅子に片脚を乗せ、つま先を上に向ける。
背中を丸めず、骨盤ごと前に傾けるイメージで前屈。
左右20〜30秒。

◆ ③ ハムストリングスを“起こす”エクササイズ

● ヒップヒンジ

立った状態で軽く膝を曲げ、
お辞儀をするようにお尻を後ろへ引く。
太もも裏の軽い張りを感じる程度。

10回。

● かかと押し出しウォーク

その場で足踏みし、
「かかとで床を後ろに押す」
感覚を意識して10〜20歩。

ハムストリングスが“使われている感覚”がつかみやすくなります。

◆ ④ 腰へ負担をためない立ち方の確認

  • お腹を突き出さない

  • かかと・母趾球・小趾球の3点で立つ

  • もも裏とお尻の軽い連動を感じる

姿勢は「筋の使い方の結果」のため、
無理に形だけ整えるのではなく
“どの筋が働いているか”を感じることが大切です。

■ 7. 浦和ななつほし整体院で大切にしているアプローチ

浦和ななつほし整体院では、
ハムストリングスの状態を
“単体”ではなく“全身のつながりの中で”みながら、
クライアントと一緒に身体の改善を目指しています。

▼ アプローチの特徴

  1. 動きの評価
    どの筋が過労で、どの筋がさぼりやすいかを客観的に整理。

  2. 過労筋へのソフトなアプローチ
    安心できる刺激で可動域を整える。

  3. さぼり筋(殿筋・ハムストリングスなど)の再教育
    負荷の少ない動きで感覚を取り戻す。

  4. 運動連鎖の改善
    骨盤・股関節・膝・足のつながりを自然に戻す。

  5. セルフケアの共有
    自宅でも続けられるやさしいケアを一緒に確認。

▼ 「卒業できる整体」を目指す理由

目的は、施術に依存せず、自分の身体を自分で扱えるようになること。
そのため、クライアントと施術者が対等に関わりながら、
身体の状態を少しずつ整えていくスタイルを大切にしています。

■ 8. まとめ

ハムストリングスや腰まわりに関する不安、
「自分の姿勢や動作のクセを知りたい」
「セルフケアの方向性を確認したい」
といった相談にもお応えできます。

身体の扱い方が変わると、
日々の動きが軽く感じられることがあります。

無理のない範囲で、
一緒に快適な身体づくりを進めていければ嬉しく思います。

症状について詳しくはこちら

🌿 浦和ななつほし整体院が伝える 「腰痛」を根本から整えるために知っておきたい、筋肉と体のつながりの話 — 痛みの原因は“腰”だけにありません。あなたの体は、全身で支え合っています —

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浦和整体院 ななつほし

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