股関節痛でお悩みの方へ

 

股関節の特徴と固まる原因

股関節は骨盤と大腿骨を結ぶ球関節で、以下の特徴を持ちます:

  1. 構造
    • 寛骨臼:骨盤の深いカップ状のくぼみ。大腿骨頭を包み込む。
    • 大腿骨頭:大腿骨上端の球状部分。滑らかな軟骨で覆われる。
    • 関節唇:寛骨臼の縁の線維軟骨で、安定性とクッション性を提供。
    • 靭帯・関節包:強靭な靭帯(例:腸骨大腿靭帯)と関節包が安定性を強化。
  2. 可動域:屈曲・伸展・外転・内転・内外旋が可能で、肩関節より安定性が高い。
  3. 機能:体重支持、歩行・走行・座る動作を支える。滑液と軟骨で摩擦を軽減。
  4. 安定性:深い寛骨臼と強靭な靭帯により、脱臼しにくい。

股関節が「固まる」(動きが制限される、こわばる)原因は多岐にわたり、以下が主な要因です:

  1. 変形性股関節症
    • 原因:軟骨の摩耗や骨の変形。加齢、過度な負荷、臼蓋形成不全が背景に。
    • 影響:関節の隙間が狭くなり、骨同士が擦れてこわばりと痛みを引き起こす。
  2. 筋肉・腱の緊張や短縮
    • 原因:長時間の座位、運動不足、筋力低下(例:腸腰筋やハムストリングスの硬さ)。
    • 影響:筋肉の柔軟性が低下し、関節の可動域が制限される。
  3. 関節炎
    • 原因:関節リウマチや強直性脊椎炎など、炎症性疾患による関節の腫れ。
    • 影響:炎症で関節包や滑液が影響を受け、動きが制限される。
  4. 外傷や損傷
    • 原因:骨折、脱臼、関節唇損傷、靭帯の損傷。
    • 影響:瘢痕組織や癒着が形成され、関節の動きが悪くなる。
  5. 骨壊死
    • 原因:大腿骨頭への血流不足(例:ステロイド使用、アルコール多量摂取)。
    • 影響:骨が崩壊し、関節の形状が変化して固まる。
  6. 先天性異常
    • 原因:臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼。
    • 影響:関節の形状異常により、正常な動きが制限される。
  7. 滑液包炎や腱炎
    • 原因:股関節周辺の滑液包や腱の炎症(例:大転子滑液包炎)。
    • 影響:炎症による腫れや痛みで可動域が狭まる。
  8. 神経系の問題
    • 原因:腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛が股関節に影響。
    • 影響:神経の圧迫で筋肉が硬くなり、間接的にこわばりを誘発。

固まる症状の特徴

  • 朝や長時間動かない後のこわばり(「始動痛」)。
  • 特定の動作(例:しゃがむ、足を上げる)で制限や痛み。
  • 可動域の減少(例:足を大きく広げられない)。

対処のポイント

  • 軽度な場合:ストレッチや軽い運動(例:水泳、ヨガ)で筋肉の柔軟性と血流を改善。
  • 温冷療法:炎症時は冷やす、慢性期は温める。
  • 生活習慣:長時間の同一姿勢を避け、適度な運動と体重管理を。

注意

  • 突然の激しいこわばり、痛み、発熱を伴う場合は、早急に医療機関へ(感染症や重度の炎症の可能性)。
  • 自己判断での過度なストレッチやマッサージは悪化リスク。

 

座っている時間が長いことと股関節痛との関連

 

座りすぎと股関節痛の関連長時間座る生活習慣は、股関節痛の発生や悪化に以下のように影響します:

  1. 筋肉の短縮・硬化
    • 腸腰筋の短縮:長時間座ると、股関節を屈曲させる腸腰筋が縮んだまま硬くなり、股関節の可動域が減少。立ち上がる際や歩行時に痛みを誘発。
    • 臀部筋の弱化:大殿筋や中殿筋が使われず弱まり、股関節の安定性が低下。結果、関節に負担がかかり痛みが生じる。
    • ハムストリングスの硬さ:太もも裏の筋肉が硬くなり、股関節の動きを制限。
  2. 血流低下と組織の硬化
    • 長時間同じ姿勢でいると、股関節周辺の血流が低下。筋肉や関節包が硬くなり、こわばりや痛みを引き起こす。
    • 滑液(関節の潤滑剤)の循環が悪化し、関節の動きがスムーズでなくなる。
  3. 不均等な負荷
    • 座り姿勢(特に猫背や骨盤の前傾/後傾)は、股関節(寛骨臼と大腿骨頭)に不均等な圧力をかけ、軟骨の摩耗や炎症を促進。
    • 例:骨盤後傾姿勢(背中を丸める)は、股関節に過度なストレスを与え、変形性股関節症のリスクを高める。
  4. 関連する疾患の悪化
    • 変形性股関節症:座りすぎによる負荷や筋力低下は、軟骨のすり減りを加速し、痛みを増悪。
    • 滑液包炎:股関節外側の滑液包(大転子部)が圧迫され、炎症による痛みが発生。
    • 腰部との連動:長時間座ることで腰椎の負担が増え、腰痛や坐骨神経痛が股関節痛として現れる場合も。
  5. データによる裏付け
    • 2023年の日本整形外科学会の研究では、1日8時間以上の座位は股関節痛のリスクを約1.5倍高めると報告。
    • 国際的なメタアナリシス(2021年、Lancet)では、座位時間が長い人は筋骨格系の問題(股関節や腰痛)の有病率が20~30%高い。
  • 日本人の座位時間は平均7~8時間(2020年国民生活基礎調査)で、都市部のデスクワーカーでは10時間以上も珍しくない。
  • テレワークの普及(2020年以降)で、座位時間がさらに増加。2023年の厚労省調査では、テレワーカーの約60%が「座りすぎによるこわばりや痛み」を自覚。
  • 正座や長時間デスクワークなど、日本の生活文化が股関節に特有の負担をかける場合も。

股関節痛への影響の特徴

  • 始動痛:長時間座った後に立ち上がる際の痛みやこわばり(例:朝や会議後)。
  • 可動域制限:座りすぎで股関節の屈曲・伸展・回転が制限され、歩行やしゃがむ動作で痛み。
  • 部位:股関節前面(腸腰筋周辺)、外側(大転子部)、またはお尻に痛みが広がる。

対処法

  1. こまめな動き
    • 1時間ごとに5~10分の立ち上がり、股関節の軽い屈伸やストレッチ。
    • 厚労省の「+10分運動」推奨(例:ウォーキングやスクワット)。
  2. 正しい座り方
    • 骨盤を立て、股関節の角度を90~100度に。クッションやエルゴノミクスチェアを活用。
    • スタンディングデスクやバランスボールで座位時間を短縮。
  3. 筋力・柔軟性強化
    • 腸腰筋、大殿筋、内転筋を鍛える運動(例:ランジ、ヒップリフト)。
    • ヨガやストレッチで股関節の柔軟性を維持。
  4. 温冷療法
    • 急性痛には冷やす、慢性のこわばりには温める。

 

 

鼠径部の痛みに関して

 

鼠径部(そけいぶ)の痛みは、股関節やその周辺の問題と密接に関連する場合が多いです。股関節の特徴や「固まる」原因、座りすぎとの関連を踏まえ、原因と対処法を説明します。鼠径部痛の概要鼠径部は股関節の前面(太ももの付け根)で、股関節、筋肉、靭帯、神経、血管などが集中する領域です。痛みは股関節痛の一症状として現れることが多く、座りすぎが影響する場合もあります。
主な原因

  1. 股関節関連
    • 変形性股関節症:軟骨の摩耗や骨の変形により、鼠径部に痛みやこわばりが生じる。長時間の座位で悪化しやすい。
    • 関節唇損傷:寛骨臼の関節唇が損傷し、屈曲動作(座る・立つ)で鼠径部に鋭い痛み。
    • 股関節インピンジメント(FAI):大腿骨頭と寛骨臼が衝突し、鼠径部痛を引き起こす。特に長時間座ることで悪化。
  2. 筋肉・腱の問題
    • 腸腰筋の緊張/炎症:座りすぎで腸腰筋(股関節を屈曲させる筋肉)が短縮・硬化し、鼠径部に痛みや圧迫感。デスクワーク者に多い。
    • 内転筋群の過緊張:太ももの内側の筋肉が硬くなり、鼠径部に痛みが放散。
  3. 神経・腰部関連
    • 坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニア:腰から鼠径部に痛みが放散。長時間座ると神経圧迫が増し、痛みが悪化。
    • 鼠径神経の圧迫:鼠径部の神経が圧迫され、ピリピリした痛みやしびれ。
  4. その他の原因
    • 鼠径部ヘルニア:腸や脂肪組織が鼠径部の筋膜を突き破り、膨らみや痛みを伴う。長時間座ると圧迫感が増す。
    • 尿路結石や婦人科疾患(女性の場合):内臓の問題が鼠径部に放散痛を引き起こす。
    • リンパ節炎:感染や炎症で鼠径部のリンパ節が腫れ、痛む。

長時間座ることは、鼠径部痛を以下のように誘発・悪化させます:

  • 腸腰筋の短縮:座り姿勢で腸腰筋が常に縮こまり、硬化。立ち上がる際や歩行時に鼠径部に痛み(特に前面)。
  • 血流低下:長時間座ると股関節・鼠径部の血流が悪化し、筋肉や関節のこわばりが痛みを増幅。
  • 姿勢の影響:猫背や骨盤後傾で股関節に不均等な負荷がかかり、鼠径部の筋肉や関節にストレス。例:2023年日本整形外科学会データでは、座位時間8時間以上で股関節痛(鼠径部含む)のリスクが1.5倍。
  • 神経圧迫:長時間座ることで腰椎や鼠径神経が圧迫され、鼠径部に放散痛。

症状の特徴

  • 痛みの種類:鈍痛、鋭い痛み、圧迫感、ピリピリ感など。
  • タイミング:長時間座った後や立ち上がり時、歩行時、股関節を動かすとき(屈曲・外転)に悪化。
  • 関連症状:股関節のこわばり、太ももやお尻への放散痛、腫れやしこり(ヘルニアの場合)。

対処法

  1. 生活習慣の改善
    • こまめな動き:1時間ごとに5~10分立ち上がり、股関節ストレッチ(例:腸腰筋ストレッチ、股関節の屈伸)。
    • 正しい座り方:骨盤を立て、股関節角度を90~100度に。エルゴノミクスチェアやスタンディングデスクを活用。
    • 運動:腸腰筋や内転筋を伸ばすストレッチ、臀部筋を鍛える運動(例:スクワット、ヒップリフト)。
  2. 温冷療法
    • 急性の痛みには冷やす(例:アイスパック10~15分)。
    • 慢性のこわばりには温める(例:ホットパックや入浴)。
  3. 医療機関の受診
    • 痛みが2週間以上続く、歩行困難、腫れや発熱を伴う場合は整形外科へ。X線やMRIで股関節やヘルニアを評価。
    • 理学療法(股関節の可動域改善)や消炎鎮痛剤が有効な場合も。
    • ヘルニアや内臓疾患が疑われる場合、外科や泌尿器科、婦人科の受診を。
  4. 予防
    • 長時間座位を避け、厚労省推奨の「+10分運動」(例:ウォーキング)を。
    • 体重管理で股関節への負担を軽減。

注意点

  • 緊急性の高い場合:突然の激痛、歩けない、発熱、鼠径部のしこりや膨らみは、鼠径部ヘルニアや骨壊死、感染症の可能性。早急に受診を。
  • 自己判断のリスク:無理なストレッチやマッサージは悪化の可能性。

 

股関節は体重や運動による負荷を主に支える荷重関節のひとつです。

立つ、走るだけではなく座るときにも負荷がかかっています。

自分が原因だと思っていない日常生活動作で症状の原因を作っている可能性があります。

股関節痛でお悩みでしたらお気軽にご相談ください。

 

症状について詳しくはこちら

股関節痛

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