膝の痛みを改善するためには、硬くなってしまっている筋肉や関節をほぐして可動域をひろげることと、弱っている筋肉を鍛えてバランスを取ることが必要になります。
ほぐしたり緩めたりしてそのままにしておくとすぐ元に戻ってしまうので、〆に運動療法を加えていい状態をキープできるようにしていきます。
階段の下り時に膝の内側に痛みが来てしまう症状に対しての運動療法を解説します。
用語の解説です。
1. 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
特徴: 太ももの前にある大きな筋肉群(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)。「膝を伸ばすメインエンジン」で、立ち上がる、歩く、階段を登る、脚を前に出す動きに必須。
イメージ: 膝伸ばしの主役!
2. さぼり筋
定義: 働いてほしいのにサボって動かなくなる筋肉。大腿四頭筋(特に内側広筋)が弱ったり使えていないと、サボりがちに。
影響: 膝の安定性が落ち、姿勢や動きが乱れる。
3. 過労筋
定義: さぼり筋をカバーして働きすぎる筋肉。疲れてコリや痛みに繋がる。「サボる同僚の残業を背負う人」みたい!
例: ハムストリングスや大腿筋膜張筋が頑張りすぎる。
4. 相反神経支配(そうはんしんけいしはい)
仕組み: ある筋肉が働くとき、反対の筋肉に「休んでOK」の信号を送る。例えば、大腿四頭筋が膝を伸ばすと、ハムストリングスが自動で緩む。これで動きがスムーズに!
イメージ: 主役が動くとき、敵役が休む仕組み。
運動療法への活用: 収縮する筋肉(大腿四頭筋)を意識的に動かし、弛緩する筋肉(ハムストリングス)をリラックスさせるエクササイズでバランスを整える。
大腿四頭筋がさぼるとどうなる?
大腿四頭筋(特に内側広筋)がサボると
歩くとき膝がグラつく。
階段下りで膝が痛みやすい。
代わりに過労する筋肉
ハムストリングス(もも裏): 姿勢を保つために緊張。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯(ももの外側): 膝を安定させようとガチガチに。
腓腹筋(ふくらはぎ): 膝を支えようとして疲労。
身近な例階段下りで大腿四頭筋がサボると、もも裏やふくらはぎがブレーキ役でパンパンに。
長時間立ってると、外側の筋肉が頑張りすぎて膝や股関節が痛む。
運動療法メニュー
運動療法(大腿四頭筋を目覚めさせ、相反神経支配を活用)さぼり筋(大腿四頭筋)を活性化し、過労筋を休め、相反神経支配を活かす運動を試そう!
- タオル押しつぶし膝伸ばし(VMOエクササイズ)
- やり方: 椅子に座り、膝下に丸めたタオルを置く。タオルをギュッと押しつぶすように膝を伸ばし、5秒キープ。10回。
- ポイント: 膝のお皿内側(内側広筋)が硬くなるのを感じ、ハムストリングスが自然に緩む(相反神経支配)。
- 効果: 内側広筋を目覚めさせ、膝の安定性を高める。
- ストレート・レッグ・レイズ(足上げ運動)
- やり方: 仰向けで片膝を曲げ、もう片方を伸ばす。膝をピンで30cm持ち上げ、3秒キープ。10回。
- ポイント: 膝を曲げず、大腿四頭筋に効かせ、反対側のハムストリングスをリラックス。
- 効果: 大腿四頭筋の強度を上げ、過労筋の負担を減らす。
- 膝伸ばしキープ+相反神経活用
- やり方: 椅子に座り、片脚を前に伸ばして5~10秒キープ。左右10回。伸ばすときハムストリングスが緩むのを意識。
- ポイント: 膝をピンと伸ばし、反対側の筋肉が休む感覚を。
- 効果: 相反神経支配を意識して筋肉の協調性を改善。
- 相反神経ストレッチ(ハムストリングス弛緩)
- やり方: 立って片足を前に置き、膝を軽く曲げて大腿四頭筋を収縮。20~30秒キープ。反対側のハムストリングスが緩む。
- ポイント: 収縮と弛緩のバランスを感じて。
- 効果: 相反神経支配を強化し、過労筋を休める。
コツ: ゆっくりやり、効いてる場所を感じて。テレビを見ながらでもOK!
日常生活でさぼらせないコツ(立ち方・歩き方の工夫)
運動の時間がない場合も、日常動作で大腿四頭筋を働かせ、相反神経支配を活かそう!
- 立ち方:
- 膝をピンと伸ばす(大腿四頭筋ON、ハムストリングス弛緩)。
- つま先と膝の向きを揃える。
- 体重をかかとと母指球に均等に。
- 歩き方:
- 足を出すとき膝を伸ばす意識(かかと着地、反対筋をリラックス)。
- お尻と太ももをセットで使う。
- 階段:
- 下りで膝を伸ばしてブレーキ(相反神経でハムストリングスを休ませる)。
- 上りで股関節から持ち上げる。
大腿四頭筋がさぼってるかセルフチェック
- 膝伸ばし触診チェック: 膝を伸ばして内側が硬くならない → サボりサイン。
- 階段下りチェック: 膝が痛い、モモ裏が疲れる → サボってる可能性。
- 片足立ちチェック: 膝がブレる → 大腿四頭筋が弱い。
- 足上げチェック: 膝が曲がる → サボり疑惑。
過労筋をほぐす方法
大腿四頭筋がサボると過労筋(ハムストリングス、大腿筋膜張筋、腓腹筋)が疲れるから、セットでケアを
- ハムストリングス: 座って脚を伸ばし、前に倒して20~30秒。
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯: 足をクロスして横に倒し、20~30秒(フォームローラーもOK)。
- 腓腹筋: 壁に手をつき、後ろ足のかかとを床に、20~30秒。
- お尻: 足首を膝にのせて前に倒し、20~30秒。
順番: 過労筋をほぐしてから大腿四頭筋を目覚めさせるのが効果的!
日常動作で過労筋に負担をかけにくい工夫
立ち方: 膝を伸ばし、かかとにも体重を(相反神経で弛緩を促す)。
座り方: 膝とつま先を正面に、骨盤を立てて。
歩き方: かかと着地+膝を伸ばす。
階段: 下りで膝を伸ばし、上りで股関節を使う。
長時間姿勢: 1時間に1回リセット。