【棘下筋が五十肩に及ぼす影響】〜見落とされがちな“肩の裏側の主犯筋”〜

はじめに

「腕を上げると肩が痛い」「夜寝ると肩がズキズキする」「上着を着る動作で引っかかる」
そんな“五十肩”の症状。

多くの方が「肩の関節が固まっている」と考えますが、
実はその裏には、**棘下筋(きょくかきん)**という小さな筋肉の硬さや機能低下が深く関わっています。

この棘下筋が適切に働かないと、
肩関節の動きが乱れ、炎症や可動域制限、夜間痛など、典型的な五十肩の症状を引き起こすのです。

棘下筋とはどんな筋肉?

棘下筋は、肩甲骨の裏側(肩甲棘の下)に位置する**回旋筋腱板(ローテーターカフ)**の一つです。
主な働きは以下の通りです。

  • 肩関節の外旋(腕を外にひねる動き)

  • 上腕骨の安定化(関節をはずれないように押さえる)

つまり、棘下筋は“肩を支えるストッパー”のような存在です。

他の回旋筋(肩甲下筋・小円筋・棘上筋)と協力しながら、
肩をスムーズに動かすための微妙なバランスを保っています。

五十肩のメカニズムと棘下筋の関係

五十肩(肩関節周囲炎)は、関節包の炎症や癒着、筋肉や腱の過緊張が複合的に起こることで発症します。
その中でも、棘下筋が硬くなると次のような悪循環が生まれます。

棘下筋の短縮が肩の可動域を制限する

棘下筋は、肩を外に回す筋肉です。
この筋肉が硬く短縮すると、

  • 腕を上げる(屈曲・外転)動作

  • 体の後ろに手を回す動作(結帯動作)
    などで肩関節の後方が突っ張り、動きがロックされます。

五十肩の典型的な「後ろに回せない」「服を着づらい」という症状は、
実はこの棘下筋と小円筋の短縮によって引き起こされるケースが非常に多いのです。

棘下筋の過緊張が関節包を引き込み、炎症を助長する

肩関節の後方には、関節包という袋状の組織があります。
棘下筋が硬くなると、その筋膜が関節包と癒着して、
肩関節の後方を引き込むように締め付けます。

その結果、

  • 肩関節の動きが制限される

  • 動かすたびに関節包が引っ張られて炎症が悪化

  • 夜間痛(寝返りでズキンと痛む)が発生

という流れが起こります。

つまり、棘下筋の硬さは炎症の原因であり、痛みの悪化因子でもあるのです。

棘下筋が働かないことで他の筋肉に負担がかかる

棘下筋が正常に働かないと、肩を安定させる力が弱まり、
他の筋肉が代わりに頑張りすぎるようになります。

特に負担がかかるのが、

  • 三角筋(腕を上げる主力筋)

  • 僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)

これらが過緊張すると、肩がすくみ上がったような姿勢になり、
「肩を上げるたびに痛い」「首もこる」といった症状を引き起こします。

つまり、棘下筋の不調は肩だけでなく、首や背中のこりにもつながっていくのです。

なぜ棘下筋は硬くなるのか?

  1. 長時間の前傾姿勢やデスクワーク
     → 肩が前に巻き込み、棘下筋が常に伸ばされた状態に。
      この姿勢が続くと筋線維が拘縮し、血流が低下します。

  2. 猫背・巻き肩姿勢
     → 肩甲骨が外に広がり(外転)、棘下筋が常に引っ張られる。
      筋肉がうまく収縮できなくなり、“さぼり筋”化。

  3. 過去の外傷や使いすぎ
     → 肩のインピンジメント(引っかかり症候群)やスポーツのオーバーユースによって、
      棘下筋に小さな断裂や炎症が残り、慢性的な緊張を起こす。

  4. 相反神経抑制の乱れ
     → 肩を内旋させる筋(肩甲下筋や大胸筋)が過緊張すると、
      その拮抗筋である棘下筋は神経的に抑制され、働けなくなります。
      これにより筋力低下と硬さが共存し、動作がさらに崩れます。

棘下筋を整えると肩はどう変わるか

棘下筋の柔軟性と収縮力が回復すると、

  • 肩の可動域が広がる

  • 夜間痛が減る

  • 肩の引っかかりが解消される

  • 腕を動かしてもスムーズに感じる

などの変化が見られます。

また、肩甲骨の可動も改善し、首や背中の緊張も緩和されるため、
「肩が軽くなった」「姿勢がまっすぐになった」と感じる方が多いです。

ななつほし整体院のアプローチ

ななつほし整体院では、五十肩の施術において**運動連鎖を整えて可動域の回復**に重点を置いています。

施術ステップ

  1. 肩甲骨と上腕骨の位置関係を評価
     → 棘下筋の緊張度、関節包の癒着具合を確認。

  2. 過労筋のリリース
     → 大胸筋・肩甲下筋など、棘下筋を抑制している筋を緩める。

  3. 棘下筋の血流改善と筋膜リリース
     → 深部にアプローチしながら、関節包との癒着を丁寧に解放。

  4. 神経的再教育(アクティベーション)
     → 棘下筋が再び収縮できるよう、肩の外旋運動を軽負荷で再学習。

  5. 肩甲骨・体幹の動作連鎖調整
     → 肩だけで動く癖を直し、全身を使ったスムーズな動きを取り戻す。

改善の目安

炎症期を過ぎた段階から、

  • 初期(可動域制限期):週1回 × 2~3か月

  • 改善期(再教育期):2週に1回

  • 維持期(予防・姿勢安定期):月1回

を目安に行うことで、肩の可動と痛みが大きく改善していきます。

また、自宅では「棘下筋のストレッチ」「温熱療法」「肩甲骨の可動トレーニング」などを併用すると、
さらに回復が早まります。

まとめ

棘下筋は、肩関節の動きを支える小さな筋肉ですが、
その働きが乱れると五十肩の発症・悪化に大きく関わります。

  • 棘下筋の短縮 → 肩の後方制限

  • 過緊張 → 関節包の炎症・夜間痛

  • 抑制 → 他筋の過労・姿勢の崩れ

つまり、棘下筋を整えることは、五十肩を根本から改善する第一歩なのです。

ご予約・お問い合わせ

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ぜひ一度、ななつほし整体院へご相談ください。

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あなたの肩がもう一度しなやかに動くよう、全力でサポートいたします。

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浦和整体院 ななつほし

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