「肩が上がらない」「服を着るときに痛い」「夜中に肩がうずく」
——こうした五十肩(肩関節周囲炎)の症状の背景には、棘上筋(きょくじょうきん) の機能低下や炎症が深く関係しています。
今回は、五十肩と棘上筋の関係を分かりやすく解説します。
五十肩(肩関節周囲炎)とは?
五十肩とは、肩関節を包む「関節包」やその周囲の筋肉・腱(特に腱板:ローテーターカフ)に炎症や癒着が起こり、
肩の可動域が制限されてしまう状態です。
症状は段階的に進行します。
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急性期(炎症期):動かすと激痛、夜間痛が強い
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拘縮期(凍結期):動かせる範囲が狭くなる
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回復期:痛みが和らぎ、少しずつ動きが戻る
この中で、最も大きく関わる筋肉のひとつが「棘上筋」です。
棘上筋とは?
棘上筋は、肩甲骨の上部(棘上窩)から上腕骨の大結節に付着する小さな筋肉で、
肩のインナーマッスル(ローテーターカフ)のひとつです。
棘上筋の主な役割
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腕を横に上げる動作(外転)の「最初の15°」を担当
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肩関節の安定化(上腕骨頭を関節窩に押しつける働き)
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肩甲骨と上腕骨の協調運動の起点
つまり、腕を上げるときのスイッチを入れる筋肉であり、五十肩の「最初が痛い」「上がらない」原因の多くはここにあります。
棘上筋が五十肩に関与する3つのメカニズム
① 棘上筋の炎症・損傷(棘上筋腱炎)
五十肩の初期段階で多いのが、棘上筋腱の炎症です。
加齢や姿勢不良(猫背・巻き肩)により、肩の動きが崩れると、
腱が肩峰(けんぽう)という骨の下で擦れ、**インピンジメント(衝突)**が起こります。
この摩擦によって棘上筋が炎症を起こし、夜間痛や動作時痛が生じるのです。
② 棘上筋の短縮・拘縮による可動域制限
炎症が長引くと、棘上筋や関節包が硬くなり、肩を上げる動作が制限されます。
肩の動きは本来「肩甲骨+上腕骨」の連動(肩甲上腕リズム)によって滑らかに動きますが、
棘上筋が縮むことで、このリズムが乱れ、肩甲骨が動かず、上腕骨だけが動こうとするために痛みが悪化します。
③ 相反神経抑制による「さぼり筋化」
棘上筋が過度に働く状態が続くと、反対の動きを担う筋(棘下筋・僧帽筋下部など)が抑制され、
神経的に“働きにくい(さぼり筋)”状態になります。
この神経バランスの崩れが、
「腕を上げようとしても力が入らない」「力を抜いても肩がこわばる」といった症状を生み、
結果的に五十肩を慢性化させてしまいます。
棘上筋と姿勢の関係 — 巻き肩・猫背が肩を壊す理由
現代人の多くが抱える「巻き肩・猫背姿勢」では、肩甲骨が前方に傾き、
棘上筋が常に引き伸ばされたような状態になります。
その結果、
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筋肉の血流低下
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腱の酸素不足
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肩峰下での摩擦増加
が起こりやすくなり、炎症・痛み・可動域制限の悪循環が生じます。
長時間のデスクワークやスマホ操作も、棘上筋への慢性的ストレスの原因です。
棘上筋が硬い・弱っているサイン(セルフチェック)
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腕を横から上げると途中で痛い(特に肩の外側)
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夜、寝返りで肩がうずく
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肩の高さが左右で違う
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上着を着るときに腕が通らない
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肩甲骨を寄せようとすると前方に痛みが出る
これらの症状がある場合、棘上筋やその腱に負担がかかっている可能性が高いです。
五十肩を改善するためのポイントは「棘上筋をゆるめ、肩甲骨を動かす」こと
五十肩の根本改善には、
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棘上筋の緊張をゆるめる
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肩甲骨の動きを取り戻す
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胸郭(胸の動き)を広げる
この3つのステップが重要です。
セルフケア例(痛みのない範囲で)
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ホットパックや入浴で温める → 血流を改善
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壁を使った可動域訓練 → 壁に手をつき、腕をゆっくり滑らせて上げ下げ
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肩甲骨寄せ運動 → 胸を張らず、肩甲骨を軽く背中側へ寄せる
急性期(痛みが強い時期)は無理に動かさず、炎症を落ち着かせることが優先です。
ななつほし整体院の五十肩改善アプローチ
当院では、棘上筋を含むローテーターカフ全体を評価し、
「痛みの出る原因」ではなく「痛みをつくる動き方」 に焦点を当てて施術を行います。
当院の主な施術内容
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棘上筋・棘下筋・肩甲下筋の筋膜リリース
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肩甲骨のモビライゼーション(可動調整)
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胸郭・姿勢のバランス調整(猫背改善)
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神経的再教育(相反神経抑制のリセット)
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日常動作・セルフケア指導
肩関節だけでなく、姿勢・呼吸・体幹の使い方まで整えることで、
再発しにくい身体づくりをサポートします。
施術頻度と改善までの目安
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炎症期(急性期):週1回前後の施術+安静
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回復期:2週に1回のメンテナンス+セルフケア併用
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維持期:月1回の施術で再発予防
※平均して3か月〜6か月で可動域や痛みの改善を実感される方が多いです。
五十肩でお悩みの方へ
「肩が上がらない」「夜眠れないほど痛い」「動かすとゴリゴリ音がする」
そんな五十肩の症状でお悩みの方は、早期のケアが大切です。
ななつほし整体院では、肩の機能回復と再発予防に力を入れています。
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初回では丁寧なカウンセリングと姿勢評価を行い、
あなたに合った施術プランをご提案します。